新しい家族 ななみさんの場合パートⅠ

私がママ(養親 当時29歳)と出逢ったのは2歳の時でした。私を産んでくれた人(実親)は、精神的な病で入退院を繰り返し、私の世話をすることもできなくなり、パパと離婚をしたそうです。私にはその頃の記憶はありません。ただ、パパは仕事で忙しく、おばあちゃんにほとんど育てられていた私は、夜泣きがすごくて、育てやすい子どもとはとても言えなかったそうです。

 

ママとの出会いは覚えていません。私はママのことをずっと私を産んでくれた母親だと思っていました。5歳ぐらいの頃でしょうか。見知らぬ人に「本当にお母さんにそっくりで、かわいらしいおじょうちゃんね。」と言われた時に、特別な意識もなく「ママは私のほんとうのママじゃないんだよ。」と言って、ママに泣かれたことを覚えています。でも、それはママに不信感を抱いていたわけではなくて、そんなドラマに出て来るようなセリフをちょっと言ってみたい...というような、よくある子どものいたずら心からだったのです。後で、母が「もう、あんなことは二度と言わないでね。」と言って、りかちゃん人形を買ってくれたこともよく覚えています(笑)。あの時、私は「言ってはいけないことを言ってしまったんだ」って幼心に感じました。でも、だからといって、ママが私を産んだママじゃないなんて予想もしていませんでした。

 

私を産んでくれた人が別にいる知ったことは、本当にひょんなことからでした。中学1年生の時、パパと激しい口論になり、短気で激情しやすいパパが、思わず「ママはお前の本当のママじゃないんだぞ!」と言ったんです。口論の内容とは全然違う話なのに...ひどいでしょう?(笑)当時は、とても傷つきました。私だけが何も知らずに今までやってきたんだと思うと、今までのすべてが嘘のように思えました。(血がつながっている)妹がうらやましいとも思いました。その日はめちゃくちゃ泣きました。でも、次第に落ち着いていきましたね。どうして気持ちが落ち着いたかというと...やっぱり母がきちんと向き合ってくれたからじゃないかな。母は、私のことを「自分の子だと思っているから」と言ってくれたし、本当にそうだと思いますから。


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